『告白』

『お前が言うとさ。みかんが好き〜、パフェが好き〜、と同じレベルに聞こえるぞ』

 昔、そんなふうに言われたことがあった。
 告白――

 純粋な年頃を過ぎ、恋が単純なものではなくなってゆく。
 いろいろな柵(しがらみ)や、それぞれの暮らしが圧し掛かってくるように、それに伴って愛の言葉を使えなくなった。

 素直に言うことが難しくなる。
 同じ気持ちで通い合っていないんじゃないかと思ったり、より重く受け止められているんじゃないかと怯えたり。
 でも、やっぱり想いはひとつだけ。

 言葉だって、簡単でいいじゃない。
 たとえ蜜柑やパフェと、同列に思われても…
 伝えなければ、伝わらないもの。

「ね〜」
「何」

「大好き」

 刹那。
 思い切り瞳を見開いた後で、俺も、と返してくれた。
 何年経っても同じように優しく笑ってくれる、きみが好き――。
【終わり】

著作:紫草

NicottoTown サークル「今週のお題」より 【好き】2010.12.03
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