〜徒然に…〜

「お前に逢えて、よかった」
 と 珍しく口にする君
 早朝の 庭の散策

 私にとっては いつもの散歩
 でも朝の苦手な 君にとっては
 とっても つらい筈の朝

 小さな如雨露に 水を張る
「ほら」
 と右手を差し出され 手から如雨露を奪われる
 君の手には あまる如雨露
 こぼさぬように 歩を進め

「何故、良かったと思うの!?」
 すると彼は 返事の代わりに
 あいている左の指を 空に向けて差し出した

 何!?

 不可解な顔をすると 君は小さく微笑み返す
「朝は嫌いだ。でも、こんな綺麗な空があるなら、朝の散歩も悪くない。お前に逢わなきゃ、こんなこと、きっと知らないままだった」
 言いながら 少し照れたように頭をかく
 そして花壇の前まで来ると 花に水を注してゆく

 小さな発見は 日々続く
 それは 私も同じこと
 君に出逢い 変えられる
 好い思い出が 増えてゆく
「このお庭の散歩のお蔭で、私も樹木が好きになったよ」

著作:紫草

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