〜風〜

 初夏の日
 紫陽花が有名な 山の地に立つ
 隣には あの人の気配

『ほら 海が見える』

 そう言った彼の言葉に 視線を向けた――
 さざ波
 海岸線に見ゆる 白き線


流れゆく風
体近づき 指も触れ
そのまま絡め また歩み出す

想いが 時を刻み
薫風に包まれ 穏やかなふたり
さきに見ゆるは 山と海の同居する鎌府(れんぷ)

著作:紫草


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