第一話 日常

 高校生活、最初の中間テストは終わった。
 やっぱり中学とは全然違う。
 赤点取ったら、追試だからな〜。
 とりあえず何とかなるでしょ。

 と、思っていたのが昨日のことのよう。
 なのに今日、期末テストが終わった。1学期が無事に済むかどうかは、結果次第ということか。
 何だろう、すごく脱力してる。
 どこが変ってわけじゃないけれど、何となくいつもと違う。やっぱり、気合入ってたのかな〜。
 
 でもテスト勉強が上手くいって、今回はかなり手ごたえ有り!
「どうだった?」
 後ろの席の篠ちゃんが、声をかけてくる。
 私は右手の親指を立てて、バッチリの合図を送る。
「篠ちゃんは?」
「駄目〜。山がはずれちゃったよ」
 と、しょげている。
「ぱぁ〜っといこう。花穂、帰り、どっか行かない?」
「いいよ。あんまり…」
「遅くなれない、んでしょ。分かってるって」
 入学した日に、後ろに座った篠原千夏。詳しく話をしなくても、すぐ分かってくれる最高の友だち。特に私のように事情がある人間には、有難い存在だ。
「ごめん」
「仕方ないよ。おばあちゃんは労わらないとね」
 彼女のパチリとするウィンクは、何だかかっこいい。

 そして私たちは連れ立って、マックへ向かって歩き出した。

著作:紫草

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