〜からから、からから、何処かで廻る糸車〜
★“ごきげんよう” その内側に隠された
真実の愛 届け!言の葉★ ―翆童―
「アイシテイル」などというシャレたことなど殆ど云うことのない達也氏が、よく口にした“ごきげんよう”
どんな想いで語りかけたのでせうか…
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★なよたけの 夜の桜に 魂極る
命宿りし 我を欲する★ ―翆童―
★花ぐはし 桜に映ゆる と君の云う
その君こそが 艶やかに立つ
★ ―翆童―
達也氏は「花見酒〜」と云っては、毎日飲んでいました。
つきあうことのできる柾親氏も強かったのね、お酒…
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★夕涼み 縁台の端 腰掛ける
君の背中に かすかに触れて★ ―翆童―
★たなばたの 飾りに託す 願い事
“ずっと貴方を愛していたい――”
★ ―翆童―
夏。竹内家の前には涼み用の縁台がありました。
行き交う人が風鈴の音に誘われ、腰をおろしていきます。
でも時折、誰もいない台に寄り添う達也氏と悠茄の姿を見ることができるのでした。
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★海(わた)の底 沖を望みし 影よっつ
見上げる空に 大輪の花★ ―翆童―
★射干玉の 一夜を飾る 星花火
恋人たちに 響く波の音(ね)
★ ―翆童―
達也氏の肩に預けた体を通し花火の爆音が届けられ、悠茄は儚い花火の叫びを聞いていたような気がします。
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★「おひなさま」 呼ばれ振り向き もらう笑み
『おだいり様』 と微笑み返し
★ ―翆童―
悠茄が暮らすようになり、桃の節句が始まりました。
見慣れている筈の達也氏の顔が、時折ものすごく素敵に見える。
向けられた顔にドキッとして、思わず赤いホッペで照れ笑いする悠茄。
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★立ち止まり ふと見上げたる 夜の道
おおい尽くすは 葉桜並木
★ ―翆童―
★いだきあう 恋人たちを 導かん
夢の花園 かぎろいの春★ ―翆童―
葉にすっかり変わっているのに、散ることを忘れたように顔をのぞかす桜の花びら。
その桜の木の下で「お花見〜」と、ちゃめっ気たっぷりに云う男二人の笑い顔。
悠茄と夏子が幸せを感じる一瞬。
〜了〜