『竜胆』

〜からから、からから、何処かで廻る糸車〜

 差し出された一輪の竜胆。
(これは、何!?)
 という思ひが、表情に表れたのだらう。
「彼奴に、彼女ができたお祝ひ」
 と答える彼。そして去ってゆく後姿。
 それは幼馴染みの親友に、恋人ができた数日後のこと。
 その理由で私に、お花…
 でも嬉しい。

 いつも無表情の、冷たいまでの素敵な貴方。
 ふと覗かせた、その眼差しに底方無(そこいな)き愛情を感じるから。
【終わり】

著作:紫草

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