『海豚にのりたい』
Last
未来
――未来。
近い未来、そして遠い未来。
優作はそこにいる全ての龍に名前を付け、自分は医師として働いた。多くの建物にも、それなりの名をつけ区別をつけた。
長の話した通り、地上界とも往き来をした。体力の回復したカイザとの友情も続いていくだろう。
近い将来、その右腕に剣(つるぎ)が出現し、正式に春宮を継ぐことのなる、なんてことは今の彼には窺(うかが)い知れぬことである――。
今日も空は晴れ渡り、清々しい一日を彼らは送っていることだろう。遠くて近い、この空の上で。恒久の時の流れのなかを。
――長の独り言。
『それにしても、あいつらときたら・・。番(つが)いの相手も碌に見つけてこられぬのか・・』
長の深く長いため息が、彼らを見守る陰にこぼれた。
【了】