『ねこ』

「じじ〜」
我が子の声が猫を呼ぶ
「じじ〜 どこ〜」

「どうした!? じじ、いない?」
右へ左へと動き回る我が子をつかまえ、聞いてみる
「じじ おそと いっちゃった」
おやおや。半べそかいている
「大丈夫。帰ってくるから」
「ほんと?」

生まれた時から一緒にいる猫
黒猫の“じじ”
いっつも近くにいるもんね

「お庭で“じじ〜”って呼んでごらん。“にゃ”って返事するかもよ」
するとニコっと笑って駆け出してゆく

「おかあちゃ〜ん じじ いたよ〜」
きっと、その声で逃げてくな

あ。
今度は我が子も出て行った

〜おしまい〜

著作:紫草

back 童話list next
inserted by FC2 system