『祭囃子』

第三章「春祭り」

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 父親を殺す。
 書類上はまだだが気持ちの問題だ。親父に繋がる全てを、俺は一晩かけて思い出していた。
 お袋が云っていた、黙って出ていかなきゃならなかった理由。今の俺になら話してくれるのだろうか…

 翌日、教室にいる若菜を見て正直うろたえた。何故なら自分の知る若菜とは別人に見えたからだ。
 髪型のせい。制服のせい。
 でも、それだけじゃないと思った。一体、何が違うんだろう。

 本当にあの若菜か?! もしかすると、よく似た従姉妹とか… また、担がれてんじゃないだろうなぁ。

 それから数日たった放課後。教室に若菜だけが残っていた。
「若菜。お前、本物だよね」
「えっ?!」
 鳩が豆鉄砲くらった顔とは正にこんな感じだろう。何を云っているんだという顔で睨んでいる。
「いや、あんま雰囲気違うから、本人かなぁと思ってさ」
「莫っ迦みたい」
 と残し若菜は帰っていった。
 くそ〜

『莫迦とは何だ!莫迦とは。傷つくじゃないか!!』
 とメールを打った。当然、返事はなかった。

著作:紫草

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