『薄墨』

 命

 誰にでも平等に与えられ

 にもかかわらず

 同じだけ生きるとは限らない 寿命という名の命


     時は

      止まらない――


 日々

 同じことの繰り返しで

 過ごしていると思っている 多くの人たちに

 ほんの少しだけ…


    鼓動は平等でも

    それは いつ終わってしまうか分からない

    不確かなもの


 誰のためでもなく 自分のために…

 そして 自分のためだけでなく

 愛する人のために

 精一杯 生きて下さい――


     墨磨る硯と 真白な便箋

     耳打ちするよな 僅かな言の葉

     心のすべてを 手紙に託し

     筆運び 綴る想い


 それでも もしも終焉がきてしまったら

 その時は…

 すべての想いを 胸のうちに籠め

 薄墨に 泣け
【了】

著作:紫草

NicottoTown サークル今週のお題 本館【手紙】8/15
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