浄海坊……
その思いは何処へと続くか――
平家といえば源氏 源氏といえば平家
何故 源家ではないのか
それは源氏が余りに長く 歴史の表舞台に在るからだらう
それに比べ 平氏が表舞台にいるのは源平の時代……
落ち武者は全国津々浦々に逃げ延びて それぞれの土地に居つき住む
そこここに残る平家の逸話 今もその思い秘め生き続ける
揚羽の家紋は平家が名残り
そして飛び交う蛍の光りは 今も源平入り乱れ妖しく合戦繰り広ぐ――
源氏蛍は場を選ぶ
平家蛍は避けるよに 留まる水に棲みつきて……
ふとした誤り 清流に 紛れ込みたる平家蛍
源氏蛍との合戦ぞ
乱舞のなかに 祭り見る
【了】