『日常』


修辞法…比喩
 ・擬人法 人ではないものを人のように喩えて表現する。

 ・直喩  「(まるで・あたかも)〜のように・みたい」という表現で喩えて置き換えて明示している比喩のこと。

 ・隠喩  直喩で使われる「〜のように」等の比喩を明示するための語を用いず、喩えて置き換えて表現する。




 はい。
 板書を書き終えたら、声に出して読んでね。
「先生〜 これ暗記するの〜〜?」
 語尾を伸ばすな。
 絶対、暗記。
 あとで例文作ってね。
「え〜 できないよ〜」
 こら、作る前から諦めるな。

「じゃ、先生が先に作ってくれればいいじゃん」
 男子は毎年、そう言うね。
 じゃ私も作るから、自分でも書いて提出すること。
「げ〜」



 情緒を育てなさい。
 ただ国語のテストのためでなく、将来、自分自身が心豊かな人間になるように。
 大人になって子どもができたら、「お父さん、かっこいい」って言ってもらえるような男になれ。



 はい。
 じゃ、例文書くから、真似して簡単でいいから作ってね。
 主語は助詞を意識して、述語は活用形に気をつけて。
「それも書くの?」
 自分で考えろ!

 比喩が終わったら、次は擬態語ね……



 ・擬人法 例文
   『空が、泣いている。』 →雨が降っている。
   『風が、怒っているみたい。』 →風が強く吹いている。


 ・直喩 例文
   『彼女は僕にとって、まるで太陽のような女性だ。』
  →太陽を、どう捉えるか。
    大きい。温かい。

   『彼の人生は、あたかもジェットコースターのようだ。』
  →ジェットコースターを、どう捉えるか。
   楽しい。山あり谷あり。


 ・隠喩 例文
   『彼にとって、彼女は心の太陽だ。』

   『彼の人生は、ジェットコースターだ。他人には真似できない。』

  直喩との違いを見極めること。




 塾の講師にとっての日常である。
 しかし、生徒にはたった一度の受験生という年、十五歳の試練。
 同じ内容の授業でも、必ず生徒に合わせ変えてゆく。頭の片隅に、言葉の断片でも残りますようにと願いながら――。
【了】

著作:紫草

NicottoTown サークル「今週のお題・別館」より 10/28【比喩】

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