『菖蒲』1 〜藤娘 お稽古〜

カテゴリー:散文詩 


 淡い恋しか知らぬ小娘

 己に真が見えようか


    藤の花の内に 在り

    男を想う 溢るる恋慕

    誰に知られる こともなし

        いつしか鐘響く 夕暮れに

        再び 花に戻りつつ

        男への想いに花びら 揺らす



 踊りぬき 汗拭きながら一息ついて

 難しい、と独り呟く

 菖蒲の恋は まだ何処(いずこ)……  
【了】

著作:紫草

NicottoTown「源氏あそび」より

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