淡い恋しか知らぬ小娘 己に真が見えようか 藤の花の内に 在り 男を想う 溢るる恋慕 誰に知られる こともなし いつしか鐘響く 夕暮れに 再び 花に戻りつつ 男への想いに花びら 揺らす 踊りぬき 汗拭きながら一息ついて 難しい、と独り呟く 菖蒲の恋は まだ何処(いずこ)…… 【了】