金盞香は過ぎ去った そろそろか と待っている 待つのは 彼…
天にあるを天仙 地にあるを地仙 そして水にあるを水仙と… 呼んだ彼こそが仙―― その姿 まるで仙が 天より遣わしたかのような 馨しい香りの中に 花の咲く 季の巡り 陰が満ちる その前に 水仙が花よ 艶やかに咲け
やがて降り始める 雪の中でも開く花 それは春の訪れを 告げし花 人は その花に思いを籠めて 雪中花 と 美しい名を与え 呼び続けている――