〜水仙〜

金盞香は過ぎ去った

そろそろか と待っている
待つのは 彼…

天にあるを天仙 地にあるを地仙 そして水にあるを水仙と…
呼んだ彼こそが仙――

その姿
まるで仙が 天より遣わしたかのような
馨しい香りの中に 花の咲く

季の巡り
陰が満ちる その前に
水仙が花よ 艶やかに咲け

やがて降り始める 雪の中でも開く花
それは春の訪れを 告げし花

人は その花に思いを籠めて
雪中花 と
美しい名を与え
呼び続けている――

著作:紫草

back poems-list  next
inserted by FC2 system