『指環綺譚』
「どうして、そのリングを母さんが持っているの?」 と云う私の問いに、母の表情はみるみる哀しみに満ち、時をかけず泣き崩れた。 よく見ると、愛のリングとは若干違う。 しかし、確かにキャッツアイを持ったそれは、龍の様に見えた。 「愛と、お腹の子を殺したのは私です──」 思いがけない母の告白、そしてリング。私の頭の中は、真っ白になった・・。