大昔。
空に我等、龍神が多く飛び交ふ、その下に――
青龍刀が砕けた…、否、散った。
迦楼羅を斬ったつもりだったのに、突然、露智迦が現れて。
刃を止めることはできなかった。
真横に、迦楼羅の首を狙った刀は、そのまま露智迦の首を薙ぎ払った。
手ごたえは確かにあった。
すると目映い閃光のようなものが起こり、そして刀が粉々に砕け散った…。
源泉のように噴出す、露智迦の血。そして、その真っ赤な血飛沫の中に二人は沈んでいった――。
そんなに迦楼羅が大事か。
何故、迦楼羅なのだ。
何が違うというのだ。
母という名の女は、いつしか鬼に成り果てた。
その絶叫は、最愛の露智迦を斬ったからなのか。最愛の男を迦楼羅に取られたからなのか。
どちらにしろ、長は母を封印した。否、封印という名の死を与えた。
しかし、おばあが気付いた時には露智迦はすでに事切れていた、最愛の迦楼羅の腕のなかで――。
それはまた別の機会の、お話ということで…
【了】